ウチは貧乏。私、菊菜(きくな)は小学生なりに色々といい仕事を調べたんだけど……。

短気で協調性のないママに合う仕事ってないのだろうか。

って悩んでた頃、同級生の健斗に良いことを聞いた。

どうやら地下ボクシングがいいらしい。友達の男の子に聞いたんだ。

 

 

このさい背に腹は変えられないから、私はママをだまして試合申し込みをして実際に

試合をするまで持って言った。

私は中学生のただの女子生徒。だけど家のことはちゃんと考えてるから……。

小さい妹がいるのに借金の催促に怖いお兄さんが来る生活からオサラバしたい。

まあママは負けん気が強くていつも怒鳴り返して追い返してるんだけど、それもまた

教育上良くないだろうなと思うんだ。

 

茶髪にGパン、それと得意げな笑顔がトレードマークのママ。

「あらよっと」って毎日力仕事してる。江戸っ子気質っていえばイメージは伝わるだろうか。

 

体動かしてるんだからボクシングもいけるはず!。

ママが殴られるのは辛いけど、負けても人気があればオッケーなB地区に申し込みをしてやった。

 

そして

 

今、ママはリングに上がらされて「どういう事? あぇ? どういう事?」ってリングの上でテンパってる。

ごめんね。でもこれで家計が何とかなるから……。

 

私は言い訳をしなかった。

「ごめんね。これしか方法無くて、これはえっちな負け方でも人気が出るよ?」

「ああ、ヌード撮影会かと思ってたがこういう事か。

賭けボクシングね……。 なんっつーか、終わったら焼肉でも食べようか」

ママは覚悟を決めてくれたみたいだ。ただハードな試合らしいから焼肉食べれる状態でいられるかな。

 

 

ゴングが鳴る。

 

ママは少しリングの中央へ走ったかと思うとその場で止まった。

試合運びなんてわかるはずないよね。

私はドキドキしながら見ている。勝てるなんて思ってないけど

負けたらボコボコって聞いた事あるからちょっと怖いな。

 

一方的に負けるかと思ったけどそうでもなかった。

ママは試合前まで必死にトレーニングをしていたが、それは無駄に終わらなかったみたいだ。

押されて…押して押して。なかなかいいカンジだ。セコンドとして入った私もつい興奮してしまった、手に汗

握るとはこういう事だろうな。

ボクシングの本はちょろっと読んだけど、ジャブから入ってフックやストレートへ結びつけようとしているけど

さすがにプロ相手にはなかなか決まらない。だけど風の切る音のする相手のパンチを上手に避けている。

ママは34歳。わりとスラッとした体系で、元々スポーツが好きなのでたまにランニングをしており

バテてもいないようだ。

 

 

「そう! そこ! そこ!」

私は狂ったように白熱していた。

 

そんな中。ぐしゃっと音がした。

 

ああ、ママを騙してまでお金の為に……勝手に申し込むんじゃなかった。

フックが見事決まって……ママの体がぐるぐる回転しながらこちらへ向かってきて。

 

ロープへだらーんとぶら下がる。

 

 

「ぶはぁっ!」

ママは唾をたくさんぶちまけた。私の顔にもべっちょりとかけられるが、気にならなかった。

ただ「ママ! ママ!」と叫ぶだけだ。

「いけね……」

ママはそう言うとだるそうに体を持ち上げて相手を見据え、構えた。

天井からのライトは強く熱が伝わってきて、私の顔のママの唾が乾燥してくると

何となく生臭い匂いがした。健斗は、そこがいいって言ってたけどまあ変態の意見だしな。

 

天井から四方から見れる巨大ビジョンがあり、今の様子をリプレイしている。

ロープにだらんと体を任せているママが少し顔をあげて唾液をぶちまける場面をスローで流しているが

それをかぶって呆然とする私の顔も映し出されて少し恥ずかしい。

 

ママはそこからガタガタだった。やたら殴られて体を仰け反らせたりしている。でも立ち続けて

いつかやり返そうと狙っているみたいだった。

 

カーン

 

ゴングが急に鳴って驚いた。そういえばインターバルってあったんだっけ。

ママに椅子を用意して座ってもらい、それから何をするんだっけ……。

マウスピースを洗うんだ。後はマッサージとか色々。

私は頭がこんがらがってママの口へ指を突っ込んでしまった。

口の中はぬちゃぬちゃしていてマウスピースが取りにくい。

指は生暖かいというよりちょっと熱かった。にゅるにゅるして……思うように……」

口の中をかき混ぜているためにママの口から唾がよだれみたいにダラダラ垂れる。

「ん」

ママは私の横においてあるポリバケツをグローブで指した。

ああ、なるほどこれに自発的に吐き出してもらうんだ。パニックになりすぎか。

バケツを顔の前に持ってくるとママはニュルンとマウスピースを吐き出した。

「洗うね!」

私が言うとママはグローブで「ちょっと待って」と制してきた。

そのままバケツを持っていると、大量の唾が吐き出された。

緊張かもしれないしこの天井からのライトの暑さ、体を動かして汗まみれで脱水状態のどれかだろう。

ねばついて少しあわ立った唾だ。それも大量に。

こんなに出るんなら慌てなくてもいい、むしろ洗わなくてもいいんじゃないか?

私はそう思った。思考回路がおかしかったんだろう。それより口に突っ込んだ指の匂いを無意識に

嗅いでしまった。

 

生臭い。それは魅力のある匂いではないが、何度も嗅ぎ直してしまう不思議な魅力があった。

バケツに顔を突っ込んで思い切り息を吸うと、こっちは生の唾のせいか、ツーンとした匂いがする。

アタマがクラクラする。私は決してレズでは無い……はず。

でも女の人で30代前半っていうと、私からみたらまだお姉さんだよな。

正直頑張ってる姿にキュンと来たし、もう正直に言うけ興奮した。いや、今も興奮している。

ママから汗の匂いがぷぅんと漂ってきて、それに酔っている私がいる。

臭い、臭いよ。臭くて臭くて……。

 

カーン

 

結局私は何もしなかった。次のラウンドの始まりだ。

ママが口をあけた。ああ、マウスピースか。このヌルヌルの柔らかくて白い物体。

それはママの口腔の匂いを反映させてとてもえっちで……私はやっぱり頭がおかしいのかな。

 

これでオナニーがしたい。

 

とりあえずママの熱い口の中へわざと指が入るようにマウスピースをはめた。

「頑張ってくるよ!」

 

 

 

 

「あっ、うん」

私はワンテンポ遅れて返事をした。